「ナーフはよ」は天気の挨拶と何ら変わりない

こんにちは。マルコです。

 昔Eternal Card Gameを褒める時に「DCGでカードの上方修正をする!」といった事を呟いた記憶があるのですが、最近シャドバがカードの上方修正をしたのでアイデンティティが一つ失われましたね…

 とまぁDCGに限らず昨今の対戦ゲーは「後から修正」が出来るのがめちゃ強みであり問題点であるのですが、その中で最近ユーザーの声でやたら目立つワードがあるのですよね。
それが
「○○強すぎ!ナーフはよ!」
っていうやつです。

・ナーフは何時から日本で叫び出されたか

 日本で「ナーフ」という言葉が流行り出したのは何時頃からでしょうか?ここで注意してほしいのは「Nerf」ではなく「ナーフ」である事です。

あんまり本筋に関係ないです。マニアックな人だけが読んでいただければ…ホントは客観的な資料がもっと用意できるとかっこよかったのですが、「私が観測する範囲では」という前提の情報がメインです。まぁ話半分に聞いてもらえれば。

 「Nerf」という言葉自体は、前々からコアなゲーマーによって日本でも使用されてはいました。私自身もハースストーンが日本語化される以前、犬鷹コンボやUndertakerが弱体化された時は私も含め周りのプレイヤーも「Nerf」という表現をしていた記憶があります。

 つまり「Nerf」はあくまで「Nerf」であり、海外の「GG・WP」を輸入したような、そういうどこか海の向こうの専門用語的な意味合いが強かったのです。

 では何時ごろから「Nerf」「ナーフ」になり日本プレイヤーになじみ深いワードとなったのでしょうか。今回はGoogle Insights for Searchを用いて「ナーフ」「地域:日本」「2004~現在」「カテゴリ:ゲーム」「ウェブ検索」の条件で調べてみました。
(※このサービスの信用度がどの程度あるかは門外漢なので自信はありません。もっといいワード推移サービスがあったら教えてください)
 結果としてはこんな感じ






 
 キーワードとして伸びだしたのは2016年から。2016年と言うとLoLの日本語鯖スタートが2016/3/1、シャドウバースのリリース日が2016/6/17。これらのゲームの日本人プレイヤーの増加が、LoLにおいては元々使われていたワードの輸入。シャドバにおいては他ゲーム界隈のプレイヤーからの影響という形で普及し出したのではないかと推測します。
 

 そして検索ワードのトレンド。見事にシャドウバースです。昔からこの言葉を使っているコアなカードゲーマーの方々はいい顔をされないかもしれませんが、「ナーフ」という言葉の普及に貢献したのはシャドウバースの影響が大きいでしょう(と思います)

・「ナーフはよ」の声に対する苛立ち

 前章で述べた通り、シャドバの影響で見事日本での市民権を得た「ナーフ」という言葉。
LoL・格ゲー・DCG・FPS…昨今の対人ゲープレイヤーの間で聞かない日はないだろうという言葉にまで進化していきました。

 そんな中、Twitterやらプロの配信でコメントが流れてくることがあります。それは…

「○○強すぎ!ナーフはよ!運営はエアプ!!」


 というもの。このような意見を見た時、ある程度そのゲームをやり込んだ、もしくは考え抜いてプレイしている方はこんな思いを抱いたことはないでしょうか

(いや、確かにそれは強いんだけど、もっと別の部分に問題があるんだよなぁ…)
(それはその人が対策知らないだけで、知ってさえいれば大したことないはずだ)


 かくいう私も自分のやり込んだゲームでそういう気持ちになったことがあります。

 これらの意見は基本ネガティブな感情を起因として発信されており、内容の正しさは度外視して単純に見ていてとげとげした印象を受けたものになりがちです。そのゲームへの理解度によって人により意見も違いますし、それに対する攻略も持っているかどうかで変わります。

 また、最近は「叫んだもん勝ち」とも言われ、強キャラをバッシングして運営に抗議、持ちキャラ、使用デッキ以外の弱体化を狙う…なんてことが嘘か真か囁かれたりもしています。
(これに関してはある程度影響力はあると個人的には感じる。実際私のやっているゲームもプレイヤーコミュニティの意見を取り入れてキャラ調整を行った過去があった。それが良い事か悪い事かはここでは言及しない。)

 更にそこにキャラへのdisなどが含まれると大変です。キャラ愛勢からのバッシング、ガチ勢からの批判、「すーぐキャラ批判」という意見の噴出…これらはどちらかというと格ゲーマーに見られる傾向ですね。親の顔より見たやり取りです。 具体例をあげるとあまりにも有名になってしまった「ココノエはブス」とかもその最たる例


・「ナーフはよ」という言葉に内容の正しさは求められていない

 ここまで読んで
「はは~ん。こいつはユーザーがナーフの声を上げることに反対なんだな」

と思われると予想します。残念ですが全くそんなことはありません。

 シャドバの普及とともに流行った「ナーフ」という言葉。言葉の意味が日々移り変わるように、「ナーフ」「Nerf」から変容した際にその意味を変えていると私は思っているのです。

 何が言いたいのか。ここで今回の本題です。

巷で使われる「ナーフ」は挨拶の代わりだと私は考えています。

 どういうことなのか。説明していきたいと思います。

 元来コアゲーマーというのは自身のゲームについての情報、攻略に飢えていました。なので修正パッチの動向には敏感でしたし、「Nerf」という言葉も自身の攻略を語る上での指標として主に使用されていました(※100%主観)。「○○は強い。対策もしにくいしゲーム性を狭めている。だから○○はNerfするしかない。俺はそう思う」と言った感じです。

 ですが、今現在ゲーマーではなかったアニメ・漫画オタク層含め色んな方が対人ゲームをプレイするようになり、そんな中で「Nerf」は「とある要素を弱体化する」という元来のスラングそのままの言葉として、もっとフランクに・気軽に使われるようになった。そう推測しています。

 そして、「とある要素を弱体化する」という「ナーフ」という言葉に、今度は「不快な思いをした時に吐く言葉」という「使用される状況」という属性が付与され出したのです。まぁこれはぶっちゃけ昔からありましたけど。より強くなったという意味合いが正しいかもしれません。

 だから
「○○ナーフはよ」という言葉には「Nerf」だった頃と違い

「自身の考え」「攻略としての結論」といった理論的な思考は求められておらず
「こいつにぼこされて不快だった」「コイツに腹が立った」という感情的な思考が付与されるようになったのです。


・「ナーフはよ」は感情的な共感を得るためのきっかけ、いわば挨拶である


 「Nerf」が「ナーフ」としての意味合いが強くなった今。「ナーフはよ」という言葉には

「今日暑いねー」「今日眠いわー」

という相手と感情を共有して、コミュニケーションをとるための決まり文句と何ら変わりない立ち位置となったのです。

 たとえ攻略的に間違っていると思っても、たとえ当人のスキルが足りない事が原因だとしても、そこを指摘して発言を正そうとしても「いや、俺はこのキャラにキレてるんだが???」
論理VS感情の一生蹴りがつかない喧嘩をする羽目になるのです。

 同じ言葉を使っていると思っても、その発言の背景は対極にあるかもしれません。ゲームシーンの最前線に立つプレイヤーの皆さん。あまり目くじらを立てて怒らないであげてください。これは自身への自戒でもあります。

 ではまた。




 でもキャラdisもナーフ発言もTPOをわきまえないと嫌われるからそこは皆注意しような。