私事なのですが、最近スカルガールズという格闘ゲームで初心者講座という放送を開いたのです(タイムシフトは私がツイッチに初狩りされたのでないのですが…)そこでまぁ「このゲームにおいて大事なシステム」やら「防御する方法」とかそういう話をしたわけです。
私昔似たようなことを実はしてまして、遊戯王を生放送でやっていたころ、遊戯王・ハースストーンとかのカードゲームを、初心者の方に向けて色々解説講座らしきものを細々とやっていたのです。
・なぜ人はゲームをやめてしまうのか
ですが、こちらが熱心に技術面の仕様を教えても、少し触ってやめてしまう人は幾らでもいました。勿論教え方が悪かったというのもあるでしょう。
それでも始めてくれた以上、私の説明でそのゲームに興味は持ってくれたわけです。ではどうしてそのゲームをやめてしまったのか。直接聞いたりその人の言動を観察する中で私は大きく分けて二つの理由があるなと感じました。
それが
【ゲームが自分に合わなかった】
と
【勝てないから】
でした。
・勝つ事が至難な道を選んでしまう初心者
「ゲームが自分に合わなかった」これは仕方ありません。面白そうだと思ってやったゲームが、自分でいざプレイしてみるとしっくりこなかった。よくある話です。
「勝てないから」これもある意味仕方のない話です。人間、勝てなければ面白くない。そんな事はあたり前田のクラッカーであってそれでやめるのは誰も止められないでしょう。
…ここからは言い方が多少悪くなってしまうと言いますか、批判が多く来そうなのであらかじめ【*全ての方にあてはまる訳ではありません】と前置きをさせていただきます。
えー、予防線を十分に張った所でこの記事のタイトルにも関わるメインの話に移りたいと思います。
後者の理由でやめる方々、カードゲームでは「どんなデッキ使ってたの?」格闘ゲームでは「どんなキャラ使っていたの?」と聞いてみるとかなりの確率で
「○○(マイナーあるいはよくて中堅、環境デッキに滅茶不利)ってデッキ」
「××(色物あるいは操作がゲキムズ)だったけど勝てなくて」
と答えてくれることにある日気づいたのです。
…いやそれじゃ勝てないのも当然だよ!だって勝つことが難しいもの!
そう、「勝てなくて…」とゲームをやめていく方々はかなりの確率でそのゲームにおいての強カード・強キャラを使っていないのです(先ほど述べた通りあくまで私の周りの話です!)
勝つことが難しいデッキを使って勝てないからやめる…この矛盾しているともいえる心理に私は長い事対峙していました。
・初心者が強キャラ・強カードを使わない理由
話は逸れますが、皆さんはMtGにおけるプレイヤータイプの分け方はご存知でしょうか?こちらに詳しい説明がありますが、ざっくり説明すると
・ティミー:このゲームたのしー!ってなりたい。勝つのが第一目的ではない
・ジョニー:こんなコンボ・デッキ作ったおれすげーって認めれたい!
・スパイク:とにかく勝ちたい!勝つためならどんな努力もするしどんな強カードも使う
とまぁほんとにざっくりですがこの3タイプに分けています。
これはMtGの開発会社がカードゲームにおけるプレイヤー層の区別の為定義したものですが、私は格闘ゲームやその他のゲームにも当てはまるものと考えています。
格闘ゲームでも
「とにかくド派手な技を打ちたい」というティミー志向
「弱キャラと言われるキャラ使ってすげーコンボで勝ちたい」というジョニー型プレイヤー
(格闘ゲームの世界では「職人」と言われることが多い)
「ガン待ち上等強キャラ上等勝てば正義」なスパイク志向。似通る部分は沢山あります。
そして大事な事。この3つのプレイヤー分けは完全に分離されるわけではなく、
「この目的は一人の人間の中で重複する」
ということです。
話を戻しましょう。
ゲームを楽しむ上で「勝ちたい」が一番最初に来るのであれば、それはスパイク的志向と言えます。もし初心者の方が本当に「勝ちたい」と強く思うのであれば、真っ先に強いデッキ・強いキャラを使うでしょう(教える側も基本は強いデッキ・強いキャラ・強い行動を教えるはず)
にも関わらず初心者の方は強キャラ・強カードは使わない。使わずに強キャラ・強カードを使う相手に負けてゲームをやめてしまう(こんなゲーム糞ゲー!という怨嗟の声を残して)
強いカードを使う為の資産が無かった?カードゲームではそれもあり得るでしょう。
強キャラは難しくて操作出来なかった?強キャラの操作が一番難易度が高いゲームもあるでしょう。
ですが、それらの要素を排除してそれでもなお初心者が強キャラ・強カードを使わない理由。それは
【心の中に巣くうジョニー的志向】
が初心者を蝕んでいるからと私は考えます。
・マイオナは“熟練者”の楽しみ方
オタクと言うのは悲しい性を持つ人間でして、「メジャーな物は使いたくない」「個性を出して物事に取り組みたい」という気持ちで常にいっぱいです。
だから周りがだーれも知らないゲームにはまったり、誰も知らないエロゲーを自己紹介の時に説明して周りに引かれる難儀な日常を送り、オタク界隈しか住む場所がなくなるのです(*しつこいようですが個人の感想であり誰しもがあてはまるものではなく、別に私の体験談とかそういうわけでもないほんとうだよ)
そんなわけで、例えそのゲームを初めてやるとしても「みんなが使ってる強いデッキなんてつまんない!」「厨キャラとか嫌!」と我儘な心がむくむく湧いてくるのです。
気持ちは痛いほどわかる。だがやめろ。
あなたが過去に見たかもしれない、ジャギとかいう弱キャラを使って颯爽と大会で優勝する格ゲーマーや、活路エクゾとかいうマイナーデッキを使って世界大会でTOP8を取っちゃう外国人とか、そーいうのに憧れる気持ちは凄く分かる、分かるし私もどっちかというとそちら側の人間なんですよ。でもねでもね、二回目ですよよく聞いてくださいね
気持ちは痛いほどわかる。だがやめろ。
あれは強い行動弱い行動・強いキャラ弱いキャラ・強いカード弱いカード知り尽くした所謂“熟練者”の遊びであって、初心者の人がやってもゲームの本質を理解する前にゲームが嫌になってしまうんです!
決してあなたがゲームが下手だからとかではいやもしかしたら下手かもしんないけど初心者だし多少はね?、そういうことではないのです!
・勝てないゲームは楽しめない
こんな事を書くと「私は○○や××が使いたかっただけであって、勝ちたいとかゲームの本質とかそんなこと言われる筋合いが無い」と怒るオタ…諸兄もいらっしゃると思います。
格闘ゲーム界隈ではよくTwitterで「勝つ事が目的ではないプレイヤーも大事にして欲しい」というツイートが流れてきます。カードゲームでも、カードのフレーバーテキストを第一にデッキを組んだり、汎用性のあるだけで、使いたいカードとシナジーの薄い強カードを入れてデッキを補強することを良しとしない方が数多くいらっしゃいます。
先のタイプ分けを使うならティミーに分類される方々。勝つ事が第一目的ではない。そういう遊び方があるのは勿論理解しております。
あなたがもしその理念を突き通して何年もそのゲームを続けている方であれば、私は尊敬に値するプレイヤーであると深く思いますし、恐縮ながら諫言させていただくと、もうこの記事をこれから先読む必要はありません。私の駄文など時間の無駄です。
でも、でももしあなたがそのゲームの初心者で、好きなキャラ・好きなカードを使っているのにも関わらず、ゲームで不快感を感じやめてしまった経験があるのであれば、それはひとえに
「勝てない」
事に理由があるのです。
自分が負けても「いい試合だった」と思える試合はあります。自身のキャラをのびのび動かせたり、相手があっと驚くコンボを披露してくれたりと、負けの中でも新しい興奮を得られるのが対人ゲームのいい所です。
ですが、ゲームの世界と言うのは大抵は甘くありません。ゲームである以上、そこには戦略があり定石があり、強い・弱いという能力差がはっきりと存在しています。
弱キャラ・弱カードでは当然ランクマッチでは勝てない。カジュアルやフリーマッチに行っても強キャラ・強カードを使うプレイヤーは存在しており、当然負ける。フリーマッチで何を使うのは個々人の自由である以上、強い選択を選んだプレイヤーを責める事は出来ないでしょう。
ですが、当初はそのキャラ・カードを楽しむことを目標としていたプレイヤーはこう思うでしょう
「負けてばかりでつまらない」「何も出来なくてつまらない」
と。
負けるという経験はどのような形であれ、人に不快感を与えるものです。尚更相手に完封されればその不快感はより一層なものとなるでしょう。これでは例え好きなキャラ・カードを使っても全く楽しくありません。初心者が「勝てない」「つまらない」といってやめてしまう背景には、このような心の動きがあると私の経験則上言えると思っています。
・頼むから強キャラ・強カードを使ってくれ
対人ゲームと言うものの第一目標が「相手に勝つ」という事である以上、冷酷な事を言うようですが「勝つこと以外を目的にするプレイヤー」の居場所は狭いものであり続けると私は考えています。
ですが、先述した「負けた事の不快感」と隣り合わせに居るように「勝つ事の快感」というのも同様に大きな影響を与えるものです。
何となくプライドが邪魔をして触ることをやめていた強キャラ・強カード。触って対戦してみたら面白いように勝てるようになり「このゲームまだ続けてみようかな…」という活力につながるかもしれません。
また、そのゲームにおける「勝ち方」を覚える事で一旦諦めていたマイナーキャラ・カードをうまく活かす方法を思いつき、今度はそのキャラ・カードで勝てるようになるかもしれません。
大抵のゲームにおいて強キャラ・強カードと言うのはそのゲームの「本質」を体現しているものです。
勝てなくてやめようと思っていたそのゲーム、頼むから強キャラ・強カードを使ってくれ。
そしたらまた少し楽しく遊べるようになるかもしれないからさ。
ではまた。